TOPビジネスニュース・天気野村修也の深掘りニュース生成AIの発達で新たに浮上した「声」の権利とは⁈ 10分で解説します。08:51 8月12日 381再生 問題を報告する 再生する シェアする 8月7日、法務省は「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」の「とりまとめ報告書」を公表しました。生成AIの発達により侵害されやすくなった声の権利をどう守れば良いのか、10分で解説します。AI目次生成AI悪用!あなたの声が凶器に?声の権利、法務省の解釈指針著名人の声を保護するパブリシティ権AIによる声の模倣、侵害事例とは一般人の声も人格権で守られるかAI文字起こし(β版) # チャプター 1 皆さんこんにちは。野村周也の深堀ニュースです。今日は声の権利をどう守るかについてお話をします。 言った覚えがないのに、皆さんが闇バイトのスカウトに応じている音声が、生成AIによって勝手に作られ、それが証拠となって逮捕されるケースを想像してみてください。 実に恐ろしい時代がやってきました。 生成AIによって他人の声は簡単に模倣できるようになりましたので、 様々な悪事に利用できるようになっています。 深刻なのは声優、俳優、さらには歌手やアナウンサーなど、声を商売に使っている方々です。 少し前になりますが、声優の津田健次郎さんがTikTokに投稿されている動画に、自分の声をAIで模倣したナレーションが付けられているとして、 運営会社を訴えるといった事件が起こりました。 この事件は現在も継続中です。 こうした事態を踏まえて、法務省は8月7日、 肖像、声等の無断利用による民事責任のあり方に関する検討会の 取りまとめ報告書を公表し、声の権利に関する考え方を整理しました。 この報告書は、新たに声の権利を創設することを提言しているものではなく、 生成AIによる声の模倣に、これまでの制度をどう当てはめるべきかを明らかにした解釈の指針です。 裁判官は必ずしもこれに拘束されるわけではありませんが、この指針は今後の実務に大きな影響を与えるものと考えられます。 では具体的にはどのような解釈が示されたのでしょうか。 まず報告書では、声がパブリシティ権の対象になるかが検討されました。 パブリシティ権というのは、商品の販売等を促進する効力である顧客吸引力を排他的に利用する権利のことです。 このパブリシティ権を明確に規定した法律はありませんが、 ピンクレディの写真14枚を無断で使用し、ピンクレディの振付を利用したダイエット法と題する記事を掲載した週刊誌に対し、 ピンクレディのメンバーが損害賠償を求めた事件で、最高裁判所がその存在を明確に認めています。 それによれば、人の肖像等は個人の人格の象徴なので、全ての人は人格権の内容として肖像等を乱に利用されない権利を有すると判示されました。 そして、著名人のパブリシティ権は肖像等から生ずるものなので、人格権の一内容として保護されなければならないとされたわけです。 パブリシティ権に対する侵害行為があった場合には、被害者は損害賠償を求めたり、その使用を差し止めたりすることができることになります。 そこで報告書では、果たして肖像等という概念に人の声が含まれるかが論じられました。 結論として報告書は、肖像等とは人格を識別する情報であって、個人の人格の象徴であるという通説に照らせば、声もまた当然に肖像等に含まれると解釈しました。 言い換えれば、声は肖像等に含まれるので、それを乱に利用されない権利は人格権によって保護されるべきであって、 したがって、著名人の声は顧客吸引力を排他的に利用するパブリシティ権によって保護されると結論付けたわけです。 そこで次に報告書は、どのような場合が声を対象としたパブリシティ権の侵害になるのかを検討しました。 ピンクレディの最高裁判決では、3つの代表的なパターンが示されています。 1つは肖像等を独立した干渉対象として商品化するパターンです。 声の場合であれば、有名人のボイスメッセージを勝手に作って販売するようなケースがそれに該当します。 2つ目は他の商品等との差別化を図るために、肖像等を商品に付すパターンです。 その例としては、無断で模倣した有名人の声が聞こえる目覚まし時計が挙げられました。 生成AIで模倣した有名人の声で読み上げるオーディオブックがこれに当たるかどうかについては、付すの解釈をめぐって意見が分かれたようです。 しかし、付すには当たらないと解釈する人も、声自体を商品とする一つ目のパターンに該当すると考えるか、 あるいは商品はあくまでもオーディオブックなので、声そのものが商品というわけではないが、パターン1とパターン2のいずれにも近い その他の事例として適用対象にすべきだと考えていますので、結論には大きな違いがないようです。 3つ目は、肖像等を商品等の広告として使用するパターンです。 その典型例は、コマーシャルを流す際に有名人の声を模倣したナレーションを利用するといったケースです。 以上の点を踏まえるならば、例えば有名な歌手や声優に無断で、生成AIアプリによって彼らが歌ったり話したりしている音源を作り、 その知名度を利用して、SNS上で再生数を稼いだり収益を得たりする行為は、いずれもパブリシティ権侵害となる可能性があると解釈できるわけです。 気になるのはモノマネです。モノマネは本人になりすましているのではなく、演者自身の芸として行われるもので、視聴者も別人であることを承知しているのが通常です。 つまり本人の声の顧客吸引力をそのまま利用したものとは評価されませんので、パブリシティ権の侵害行為にはならないと考えられます。 これまでは有名人のパブリシティ権について述べてきましたが、報告書では一般の人々の声も人格権の位置内容として守られることが確認されています。 最高裁は写真集刊誌の記者が法廷内で、裁判所の許可を得ないで被告人を撮影し、それを雑誌に掲載した事件で、 撮影の場所、目的、対応、必要性などを総合考慮した結果、乱りに自分の姿を撮影されない人格的利益に対する侵害が社会生活上我慢できる限度を超える場合には不法行為となり得ることを明らかにしました。 つまり、他人の肖像等を乱りに利用することで、その者のプライバシーや名誉感情、あるいは私生活の平穏を著しく害する行為は許されないというわけです。 ではこの判決は他人の声の無断利用にも適用できるのでしょうか。 この点について報告書は、無断で写真を撮られる行為と声を無断で利用される行為は、いずれも肖像等が有する精神的価値を侵害するものなので、同じ基準で保護されるべきだと述べています。 例えば一般人の声をAIで再現し、本人が発していないのに他人の悪口を言っている音源を作って友達に送りつけたり、 売説な言葉を発している音源を作って、SNS上で公開したりする行為は、他人の人格権を侵害するものとして疎外賠償に対象になると考えられるわけです。 以上のように考えてくると、便利に思える生成AIが他方で新しい法律問題を生み出していることがよくわかります。 この他にも、生成AIによる著作権侵害や個人情報保護法違反などを検討すべき課題は少なくありません。 技術の進歩を損なわずに人々の権利をどのように守っていくのか、そこが知恵の出しどころだと考えられます。 今日は生成AIの発達によって新たに浮上した声の権利についてお話ししました。 では次回をお楽しみに。 もっと見る野村修也の深掘りニュースプレミアム放送配信中!08:511.チャプター 1コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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