TOPハウツー・学習語学言葉と思索- 翻訳家の縁側ブルース#391【終戦の日の読書録】ニュースとは何か②『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』16:26 8月15日 736再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次硫黄島の遺骨収集13年の軌跡消えた1万人の遺骨、その背景とは「友軍ハ地下ニ在リ」伝わる思い「しょせん骨だろ」同僚の言葉と信念時代を超える悲劇、戦争報道の使命AI文字起こし(β版) # イントロ 本川の皆様、こんにちは。翻訳家のエンガーブルース略して本川、パーソナリティでノンフィクション翻訳家のひじかたなみです。 このチャンネルでは、60冊のノンフィクションを翻訳してきた私が、翻訳から学んだこと、心に残った本、気になった海外のニュースなどをお伝えしていきます。 サブテーマとして、人生における大小様々な失敗に立ち向かう筋肉、失敗期を期待ようということを掲げておりまして、皆様からの失敗エピソードも募集しています。 # 13年かけて硫黄島の遺骨収集団に参加する。でも取材はそこで終わらない みなさんこんにちは。 今日ご紹介したい本は、 2023年7月に発売された 異様党上陸 友軍は地下にあり という作品です。 著者は坂井壮平さんという方なんですけれども、 リンクはこのチャプターに貼っておきますね。 坂井さんは北海道新聞の記者なんですけど、 もともと北海道の別の地方市に 戸間古前の方の地方市にいたんだけれども、 異様党関係の取材がしたくて、 政府取材ができる東京市さんのある北海道新聞に 転職した方の方なんですけれども、 異様党って皆さんどこにあるかご存知ですか? 私本当に恥をしのんで言いますとね、 この本を読むまで正確な位置を知らなかったんですよね。 なんとなく沖縄戦と異様党の激戦というのが 私の頭の中でごっちゃになっていて、 なんとなく南の方の島の、 沖縄の方の島のイメージがあったんですけれども、 もっと違くて、 東京から真っ直ぐ、東京の区分から真っ直ぐ南に 1200キロぐらい降りていったところですね。 行政区分上は東京都小笠原村なんですけど、 その村役場がある千手島から さらに280キロも離れていて、 東京都小笠原村にある異様党なんですけれども、 島全体が海上自衛隊の異様党航空基地なのでね、 一般地の立ち入りは原則として禁止されているんです。 皆さんご存知のように、 第二次世界大戦の末期、激戦が行われて、 水がない島でね、 多くの日本兵の方々が 喉の渇きに苦しみながら命を落とした島です。 潜没者が2万人と言われてるんですけれども、 このうち1万人が見つかっていないそうです。 半分いないなんてことがあり得るんでしょうかね。 ただ異様党からの通信が、通信を受け取っていたのは 280キロ離れた千手島の通信員の方だったんですが、 通信が途絶える前にね、 友軍は地下にありという電報を送ってきていたそうです。 友軍って友達の友ですね、友軍は地下にありと。 それで坂井さんはね、 今も戦士たちの遺骨、戦士たちは地下にいて、 本土からの迎えを待っているんだと。 彼らを、遺骨を見つけてですね、 地下にいらっしゃるご遺骨を見つけて本土に持ち帰りたい、 そういう思いを坂井さんはずっと思うわけです。 そして今この異様党にはね、 遺族を中心とする遺骨収集団というものを 厚生労働省が定期的に派遣しているので、 その同行取材だったらね、 もうちょっと楽だったかもしれないんですけれども、 でも遺骨収集団の同行取材として島に行くとですね、 行動の自由がほとんどない。 取材をしていいとか写真を撮っていいという場所が もう決められてしまうので、 だからハードルはより高いんだけれども、 遺骨収集団の一人として行こうということを、 坂井さんは決めるわけです。 なぜその遺骨収集団に行くのがすごくそんなに難しいかというと、 一時期ね、2012年の菅直人民主党政権の時に、 遺族だけじゃなくてね、 より広い人たちも遺骨収集に加えようということで、 一般人の方も幅広く遺骨収集団に参加したことがあったらしいんですけれども、 残念ながらその参加した一般人の方がですね、 収集した遺骨をネットに投稿しちゃったりとかね、 あと軍事マニアの人とか、 遺骨収集以外の目的とする人もいてですね、 遺族の神経を魚でするような事件が起こったので、 団員選定のハードルが上がってしまって、 特に報道陣は無理だと言われていたんですけれども、 結論から言ってしまうと、 自分も医療棟に行って、 遺骨の収集をしようと思い定めてから、 坂井さんが実際に医療棟に足を踏み入れるまで、 13年の歳月がかかったんですね。 もともと何で彼がね、 そんな医療棟にこだわるようになったかというと、 おじいさまが戦争時代に七島に従軍されていたんですね。 医療棟からの電報を受け取ったっていうんですよ。 医療棟の通信員の方から、 七島の皆さんさようならっていう電報をね、 おじいさまが受け取ったという話を子供の頃に聞いていて、 おじいさまの戦友というかね、 医療棟の兵士の方々につながりを感じていた。 それに加えて、大学を卒業してすぐ就職した、 北海道の戸間古前市の地方市にいた時に、 遺骨収集に老後の人生を全て捧げた戦没者維持、 戦没者の方のお子さん、三浦さんという方と出会ってね、 その方の遺骨収集体験記というのを、 この戸間古前の地方市に連載したそうです。 この三浦さんとのご縁を、出会ったことをきっかけに、 自分も医療棟の土を掘ろう決意したんですって。 でも戸間古前がね、地方記者のままで 医療棟への距離を縮めることは困難であると。 全国市や東京に拠点を置く地元の北海道新聞とかに転職すれば、 医療棟上流圏の道が開けるだろうと思って、すごく行動に移してね、 決めた時に一番採用試験が近かったのが、 2ヶ月後に採用試験があった北海道新聞社だということで、 医療棟の戦没者の遺骨を掘るんだと決めて、 わずか2ヶ月後に北海道新聞の中途入社試験を受けて、 二次試験の場で医療棟に上陸取材をしたいということを率直に述べて、 その熱意を示すために、 戸間古前の地方自治体の連載記事のコピーも、 鞄に準備しておいたそうです。 とはいってもね、北海道新聞で転職したからって、 すぐに医療棟の記事を書けるわけじゃないんですよ。 まずその北海道と何の関係があるんだよって話になりますよね。 それでお盆と正月に、記者たちも夏休みですしね、 企業とかいろんな組織がお休みになっちゃうので、 お盆とか正月って記事がなかなか集まらない。 だからいつでも掲載できるテーマの大型記事を社内で募集されるんですって。 日持ちがするって意味で缶詰記事って言いやすいんですけど、 北海道新聞に入社した当初から缶詰記事の募集がかかるために、 医療棟関連の記事を申請してたんだけど、なかなかそれが実らないんですよね。 転職してから11年経って、ようやく坂井さんはめでたく東京支社に配属されるわけです。 配属の希望を聞かれてね、 専募者の遺骨収集の担当省庁である厚生労働省を希望して、 彼は厚生労働省担当になるんですけど、 その時の心情を綴った一文があるんです。 中央省庁の官僚とはどんな人種なのか。 霞ヶ関や永田町はどんな世界なのか。 取材にはどんな作法が必要なのか。 ローカル紙の記者の僕は不安ばかりだった。 初めて出勤した際、厚労省の向かいの日比谷公園では梅が咲いていた。 置かれた場所で咲きなさい。 いつか読んだ言葉を思い出し、脇目も振らずに書紙を貫こうと思った。 そんなふうに書かれていて、 この心細い心境って私もすごく分かるんですよね。 初めて挑んでいく未知の取材対象って、 一体どんな人が待ち受けているのか、 取材の作法ってどうなんだって不安でいっぱい。 そういうところに切り込んでいった。 彼の心情が伝わってきて、 この部分はすごく印象に残ったんですけれども。 結局、13年の苦労の末に彼は思い立ってからいおうとに上陸できるんだけど、 私がこの本ですごいなと思うのは、 13年かけて上陸しましたで終わらないんですよ。 これも素晴らしいなと思うんだけど、 すごい紆余曲折あってね、 遺骨収集団の一員として彼はたまたま上陸できることになるんだけれども、 こうやって上陸しました、そこでこれを見てきましたっていうだけで、 レポートとして成立するんですよね。 本としても成立するかもしれないんだけれども、 でも彼はそこからね、 なぜ2万人の専募集団のうちの1万人の遺骨が戻らないのかっていうことを調べ続けるんですよ。 この本の後半の半分くらいはそういう内容になっているんですけれども、 この本を読んでいてすごく私がハッとした部分があるんだけど、 なぜこんなに遺骨が足りないのかという理由の一つがね、 アメリカ兵が頭蓋骨を持ち帰ったんじゃないかという仮説があるんですけれども、 これを読んで私が思い出したのはね、 自分が2022年にアメリカのジャーナリズムスクールに留学していたときに、 前もこのチャンネルで配信したと思うんだけど、 ワシントンポストの調査報道のお手伝いをしたことが3ヶ月間くらいあって、 そのときスミソニア博物館に何十年も前から倉庫に眠っていた大量の頭蓋骨があると、 その頭蓋骨がなぜ収集されなぜ放置されたのかという調査報道のお手伝いをしたときに、 その調査報道の中でも、それは頭脳の大きさを測るというか、 優生思想に基づいて、なぜ白人が有色人種とかよりも賢いのかというのを証明するために、 大量の頭蓋骨を集めていた。 それについてのワシントンポストは調査報道だったんだけれども、 そのときの報道の会合って、今ではスミソニアの博物館も頭蓋骨のご先祖様、ご遺族をね、 遺族を確かめて返還する手続きを進めているんですけど、 イオウ島は戦争が終わった後、しばらくアメリカ軍の施設になっていた時期もあるんですけれどもね、 そのときに中途していたアメリカ兵の方が、 日本兵の頭蓋骨を持ち帰ったって十分ありえるよなというふうに思ったりしたんです。 日本兵の頭蓋骨が今でもアメリカのどこかの家庭にあるんじゃないか、 棚晒しとか屋根裏辺に置かれているんじゃないかと思うと、 ちょっと胸が苦しくなるような思いがします。 # 同僚記者に「しょせん骨だろ」と言われて。戦争報道にこだわる記者の矜持 もう一つすごく印象深いエピソードがあるんだけれども、この著者である坂井さんが、東京に配属が移動してからも、念仏のように妖刀が妖刀が妖刀に来たいと、彼はことあるごとにいろんな人に言いまくるわけですね。 そんな中で、毎日新聞の栗原記者という方を紹介されたんです。 栗原さんというのは、もういろいろなところ、海外も含めて遺骨収集に、自分もいったし記事を書き続けている人で、毎年日本のジャーナリズムって8月になると、広島の話、終戦の話、戦争関係の報道をすごく手厚くするので、8月ジャーナリズムなんて言葉もあるそうなんですけれども、 この毎日新聞の栗原さんという方は、1年中この戦争に関する記事を追い続けているので、常夏記者なんて言われることもあるらしいんですが、坂井さんはこの栗原さんが妖刀の遺骨収集に行ったという記事を目にして、もう彼の講演会に迷わず参加するんです。 実際にこの栗原さんに、坂井さん自身も会ったときに、いきなりどうすれば僕も妖刀に行けますかって担当直入に聞いたんですって、周りにも講演会になると栗原さんと話をしたい人が山ほどいたから、聞きたいことを聞かないと答えが得られないと思ったんですね。 その栗原さんは、どうすれば僕も妖刀に行けますかっていう坂井さんに対して、ぜひ行ってくださいと言って、それから何日か経って沖縄料理店で会食する機会も設けてくれたらしいんだけれども、なぜ栗原記者が坂井さんを後押ししようとしたかというと、妖刀の遺骨収集が進まないのは、国民の関心が高まらないからです。 国民の関心が高まらないのは、メディアが報じないからです。だから多くの記者に、みなさん妖刀に行きましょうと呼びかけてきた。でも本当に言ったのは坂井さんだけですよ。 こういうふうに栗原さんが言ったって言うんだけど、栗原さんは自分がこの得だね、妖刀ネタを自分が独占しようなんて思わないんですよね。みんなが、より多くのメディアが書かないと国民の関心が薄まってしまう、低くなってしまう。だから一人でも多くの記者に妖刀に行ってもらいたい。 やっぱり報道で働いたことがある人間って、自分がネタ元を囲み込みたいとか、自分だけが得だねを書きたいという意志がどうしても出てきてしまうんだけど、それを超越している栗原さんというのは素晴らしい記者だなということで、このエピソードもとても記憶に残ったんですけど。 もう一つすごく印象に残ったエピソードが、坂井さんがうよ曲折を経てようやく妖刀に行けることになった。2週間くらいにわたって会社を休むことになるわけですよね。夏休み直後に2週間仕事を離れる。 当時、坂井さんは東京五輪の準備の担当だったわけですよね。新聞記者の取材チームから一人抜けるって大変なことなんですよ。東京五輪が開催されるのかとか、オリンピック委員会とかいろいろ取材するので忙しい日々を送っていた中で、全く関係ない妖刀への取材、異骨収集団に2週間も参加する。 だから、社内で承認を取るのって結構大変だったと思うんだけれども、その承認を受けた後、飲んでたときに、同僚からこう言われたそうです。 お前のやってることは所詮骨だろ。いい歳をした記者なんだから、取材の優先順位くらい分かって仕事をしろよと。 こう言われて、坂井さんも言われるのも無理はないよねと思ったそうです。新聞記者は最新のニュースを追いかけるのが仕事なんで、多くの国民にとって、70年も昔の戦没者の遺骨って関心の外だと。ニュースではない。 でも、今なお、イオ島や沖縄とか海外の戦地で取り残されたままの戦没者の遺骨は、所詮骨なんかじゃ絶対ないと彼は思うわけです。 戦争が生み出すのは悲劇だけであって、その悲劇は時代を超えるっていうのを後世に伝えるべきだと。だからこそ、この問題を報じる記者も絶対いなくちゃならないんだというふうに彼は思ってですね。 以後僕は、戦争報道の志が弱くなった時に、この所詮骨だろを思い出す。思い出すと志がよみがえる。僕にとっては最大のパワーワードの一つだ。 この所詮骨だろって言った記者がね、たぶん羨ましかったんですよ。 それだけね、社内から誰に何と思われようと絶対これを取材したいというテーマを持っている世界記者が羨ましかったんだと思うんですけどね。 前回の配信で伊沢理恵さんの黒い海っていう本を取り上げた時もね、11年も昔の海難事故なんだから新しい事実が出てこないと新聞とかだと載せにくいですよっていう新聞社雑誌社の記者もいて、すごくそれに反発を覚えたっていうくだりもあったんだけど、新事実が出てこないとニュースにできない。 それが多くの報道機関に携わる人たちの思いなんだけれども、でもニュースって料理の仕様でいくらでも意味付けはできるというか、多くの国民が知らない事実であればそれは新事実なんだと、やっぱりこういう作品を読んでいると思わされるわけですよね。 この第二次世界大戦の日本でいろいろな方たちに起きたことをニュースとして扱い続けなければいけないっていう記者の方たちの心意気を、この坂井さんという記者の心意気をね、皆さんに今日お伝えしたくてこれを配信してみました。 それでは今日の配信はここまでです。皆様からのコメントをお待ちしております。 もっと見る言葉と思索- 翻訳家の縁側ブルース土方奈美(翻訳家)00:291.イントロ10:002.13年かけて硫黄島の遺骨収集団に参加する。でも取材はそこで終わらないhttps://amzn.asia/d/059SE2oD05:583.同僚記者に「しょせん骨だろ」と言われて。戦争報道にこだわる記者の矜持コメント感想・質問・応援メッセージを書こう いたる8月15日終戦記念日。日本では高市総理の会見が生放送され、靖国参拝の是非がいつも通り議論されています。八月ジャーナリズム。イランやウクライナで戦火が上がっている中で、戦後81年経っても定期的に話題に上るのは健全だと思いますが、生々しさよりも儀式的儀礼的になってる感もあります。硫黄島は東京とグアムのちょうど中間にあります。民間人は入れないので別世界のようでもありますが、かつてそこに2万人の日本人が居て、その半数が骨すら見つかっていないという事実はもっと日本人は認識しておく必要があるのかもと思いました。3返信 はずれスライム8月15日遺品が戦利品として見つかったという話をテレビで見ました。遺族の方は複雑な気持ちだけど、返って来て嬉しいとおっしゃってました。戦争は置かれた立場によって受け取り方が変わりますね。3返信
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八月ジャーナリズム。イランやウクライナで戦火が上がっている中で、戦後81年経っても定期的に話題に上るのは健全だと思いますが、生々しさよりも儀式的儀礼的になってる感もあります。
硫黄島は東京とグアムのちょうど中間にあります。民間人は入れないので別世界のようでもありますが、かつてそこに2万人の日本人が居て、その半数が骨すら見つかっていないという事実はもっと日本人は認識しておく必要があるのかもと思いました。
戦争は置かれた立場によって受け取り方が変わりますね。