この記事は、Voicyパーソナリティワーママはるさんの放送をもとに書き起こした記事です。
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機嫌を自分で取れない人の不機嫌ハラスメント
みなさんは不機嫌ハラスメントってご存知ですか?
最近少しずつ話題になっている言葉の1つです。まわりについつい不機嫌になってしまう人がいたり、自分も不機嫌になってしまうという方はどうぞ最後までお付き合いください。
私はよく、自分の機嫌は自分で取るのがとても大事だと話しています。大人のたしなみとして自分の機嫌を自分で取る。機嫌が悪くなりそうなときの対応策や、自分の機嫌が良くなるポイントをわかっておくことが大事だと考えます。
例えば怒りに駆られそうになる人はそうなる前のアクションを決める。お水を飲むとかトイレに行くなどです。また、怒りに駆られること自体が悪いことではなくて、怒りを感じたのであれば「なぜその怒りを感じたのか」ということを分解する癖をつける。事実と感情、解釈を紙に書いて分けてみることもお勧めしています。
ほかにも、気分がすごく落ち込んだりしたときに、自分の気分を上げてくれるような行動をストックしておくのもお勧めしています。具体的に言うと、お気に入りのパン屋さんに寄って帰るとか、散歩に行く、好きなコーヒーを飲むなどです。みなさんがちょっとテンション上がる行動をちゃんと言語化して持っておく。これが日々自分の機嫌をコントロールしていくのにすごく重要なポイントです。基本的な人間の欲を満たすという意味では、ちゃんと睡眠をとって栄養の良いものを食べるというのも大事です。
これを繰り返していけば、機嫌が悪くなりそうな状況になっても自分をコントロールできます。機嫌を取るのはそんなに難しいことではないんです。ご機嫌であるというのは大人のルールなんです。
「不機ハラ」は伝染する
とはいえ私も完璧な人間ではなく、不機嫌になる時もあります。最近「不機ハラ(フキハラ)」という言葉にも出会ったので、これについても話してみましょう。
不機ハラとは、不機嫌なハラスメントのことです。なぜ自分が不機嫌かという理由をまわりに説明せずに心配させたり、威圧的な態度を取ることで萎縮させたりするような態度。これを不機ハラと言うそうです。
みなさんの職場にもこういう人はいませんか?「うちの上司、常に不機嫌ハラスメントを出してくるな」「同僚が不機嫌で仕事しにくいな」と思った方もいるんじゃないでしょうか。
この不機嫌がなぜ面倒くさいか?それは「理由がわからないから」なんです。人間は言葉で言ってくれないとなぜ不機嫌なのかがよく分からないんですよね。特に相手の立場が上だったりするとこちらがすごく萎縮した状態で対応しなければいけなくなります。こうした感情は連鎖しやすくなるので、こちらまで嫌な気持ちになっていく。これはみなさん想像がつくんじゃないでしょうか。これが職場内なら健全な職場とは言えませんし、家庭内なら健全な家庭とは言えないでしょう。
「不機ハラ」とは、自分の感情を言語化できないから発生する
不機嫌ハラスメントをしてしまう方は、なぜそんな態度を取るのか?
1つは相手をコントロールしようとしている。不機嫌をアピールすることで自分の言うことを聞かせようとしたり、相手を言いなりにさせようとするんですね。された方は「自分に何かちょっと悪いことあるのかな?」と思ったりしますので、正常な判断ができなくなってしまったりします。これがハラスメントになります。
もう1つ、気づいてないけど不機嫌になっているという人もいます。これは年配の男性に多かったりします。小さいころから自分の感情をを受け止めてきてもらわなかった人は、自分が何に対して不快を感じているとか、どういうことが嫌だというのを言葉にできないんです。なので態度に現れているという方がいたりします。
「男なんだから泣くな!」と、自分がネガティブな感情を出したときに親に怒られた経験をされている方は、そうした経験が積み重なって大人になっています。だから言葉にしたり、それに対応するのがすごく苦手なんです。なので自分の内側に溜めて、態度としてそれを出してしまうという方がいらっしゃったりします。
こういう人の場合は不機嫌なことに自覚がなかったりします。お父さん世代とかでいませんか?不機嫌でなんだかちょっと気にいらないことがあったんだろうなと思うけども、その理由は言わない。本人に聞くと「別に怒ってないよ」みたいな。これは自分の感情を言葉にする力が弱いと認識いただけたらと思います。
先ほどお話しした、相手をコントロールしようとしている場合はちょっと問題です。自分は不機嫌であることをアピールすればまわりが気を使って動いてくれる。たぶんこれを経験しているから不機嫌ハラスメントをするんですよね。
これをぶつける相手は心を許しているような関係性の人、つまりパートナーや家族、自分より立場が下と見なした人だけです。自分より偉い立場の人には不機嫌な態度を向けませんよね。たとえば新入社員が上司の前で不機嫌を表しても「おまえ顔洗って来いよ」って言われて終わりです。でも上司が不機嫌だとすごく気を使いますよね。
このへんが不機嫌ハラスメントのやっかいなところだと思います。もちろん私自身も身内に対して不機嫌さを示してしまった過去があります。これは反省する点だなと思っています。
「不機ハラ」とは、距離を置く、気づかせる。
では不機嫌への対応策はどうするのか?
職場の場合、こちらから何かコントロールするのは結構難しいものがあります。不機嫌な人に近づかないというのがやっぱり一番いいんですよね。ただ、上司や同僚だったりするとこれも難しかったりしますよね。
同僚は立場が一緒なので、自分が不機嫌でもこの人には許されるという甘えがある状態なんだと思います。その場合は、同じように感じている同僚たちと具体的な事実だけを記していき、どうしても耐えられない場合は、上長にその事実を伝えてみるのが、個人的にはいいんじゃないかなと思っています。
では上司だった場合はどうするのか。もしも耐えられるレベルの不機嫌だったら必要最低限のやり取りだけをする。耐えられない場合は環境を変えることも頭に入れた方がいいと私は思います。
この不機嫌という情動は感染していきます。不機嫌な人にこちらが萎縮して合わせていくと、自分の思考や考え方まで萎縮していき、それが当たり前だと思うようになります。つまり相手の言いなりになっていくんですよね。これは健全な状態ではありません。1、2年で上司が変わってくれる職場であればいろいろ工夫していけばいいと思いますし、一生付き合わないとダメだなと思ったら、距離を置く方法を考えた方がいいんじゃないかなと思います。
家庭の場合はパートナーをそう簡単に変えられません。つまり2人で話し合って解決していくしかないんです。不機嫌ハラスメントを意図的にやってる場合は「そういうことをされると困る」「私も不機嫌な気持ちになってしまう」とを伝える必要があると思います。そこで初めて対等な関係に戻ります。
「相手がもっと不機嫌になるので言えません」という方もいるんですが、それは不機嫌ハラスメントではなく、モラハラの問題。また別の対処がいるかなと思います。
もう1つ、自分が不機嫌であることを自覚しておらず、不機嫌が伝染するとも思ってない人。その場合も、不機嫌を受ける側が伝える必要があります。そういう人は自分の不機嫌を言語化できていないので「あなたの不機嫌が溢れて、こちらまで不機嫌になります」と伝えないと相手を不快にさせていることに気づいていない可能性があるんですよね。
気づいたら人間は行動を変えていったり、対話が始まります。不機嫌な人のペースに合わせるのではなく、その不機嫌によって私も不機嫌になるよと伝えるのが大事なんじゃないかなと考えています。
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