理学療法士のオガトレさんが、リスナーからの質問にお答えする「オガトレの体が柔らかくなるラジオ」。今回は「猿腕」のお悩みに回答。猿腕を作る関節の仕組みから、猿腕を改善するトレーニング方法までを解説します!
この記事は、Voicyパーソナリティオガトレさんの放送をもとに書き起こした記事です。音声でも聴きたい方は、記事最後の再生プレーヤーからお楽しみください!
猿腕とは何ですか?猿腕の対処方法は?
猿腕について質問させてください。
私は、小さい頃から肘が過伸展(かしんてん)する、いわゆる猿腕です。母も兄弟も同じなので、おそらく遺伝によるものだと思います。そのせいか、昔からどんなに痩せても、二の腕だけふっくらしているのです。気をつけの姿勢でまっすぐ立って横から見た時、ほかの人は腕がまっすぐになるのに、私はなんとなく「く」の字に曲がっているように見えます。
猿腕の人はヨガや筋トレでも腕の効果が薄いと聞いたことがあります。実際、筋トレを頑張っていますが、どんどん腕の外側が盛り上がってきて太くなる一方で、二の腕は全然細くなりません。
猿腕を改善する方法や、エクササイズの時に気をつけることなどありますか?
猿腕を引き起こす2つの関節の動き
まず結論からお話すると、猿腕は治りにくいです。猿腕というのは、腕が反り返っていることの総称です。反り腰とか、猫背と似たような感じですね。医学的な用語ではなく、見た目のニックネームみたいな感じです。肘が伸びきっている、サルのような手に見えるというのが猿腕です。
猿腕には2つの関節の動きが混ざっています。1つ目は肘が伸びすぎる。いわゆる肘の過伸展です。腕をピンと伸ばした時に腕がまっすぐになる方は正常の範囲なんですけど、そこから反り返って「くの字」になってしまうのが過伸展という動きです。
もう1つは外反という動き。これはバレーのレシーブを思い浮かべてください。手首の内側と前腕、上腕と手首の間の前腕、二の腕と手首の間の前腕、ここをくっつけたときにくっつく方、肘もくっつく方は外反が強いです。バレーをやっていた方は職業病じゃないですけど、バレー経験でなる方も多いし、もともと肘が柔らかい方は外反になりやすいです。
この2つを合わせて猿腕と言ったりします。肘が伸びきるだけでも猿腕と言う人もいます。皆さんもぜひチェックしてみてください。
猿腕は遺伝する
この状態だと、確かに二の腕の部分ってプニプニになりやすいんです。上腕三頭筋という二の腕のところにある筋肉に力が入りにくい。なので上手く鍛えられないことが多いです。
この猿腕の見た目に関しては、整えるのがすごく難しいです。なぜかというと、ゆるい関節は修正するのがすごく難しい。反張膝(はんちょうひざ)という膝の反り返りも似たような感じです。その部位を整えるだけでは、あまり変化は出にくい。
なので、反張膝だったら足首と股関節を整えてあげることが多いんです。肘に関しては体重をかけて支えることがないので、手首を整えてもあまり効果が見られにくい。肩を整えてもぶらぶらぶら下がってるものなので効果が出にくい。だから変化が出にくいんですよね。
遺伝かな?という話ですけども、猿腕は遺伝します。関節の緩さは遺伝するんです。バレーをやっていたなど後天性もありますけど、基本は先天性のものです。現状では猿腕とお付き合いしていくしかないです。ただ、その猿腕の状態でも上腕三頭筋を鍛えることは可能です。
猿腕で上腕三頭筋を鍛えるバンザイ運動
やりやすいのは、腕を上にあげたバンザイの状態から肘を曲げて伸ばすトレーニング。このときに肘を伸ばし過ぎない。肘をしっかりと曲げた状態から伸びきる手前までもっていく。それから戻す。こういった感じの鍛え方をすると、肘にも負担を掛けずに上腕三頭筋を鍛えることができるので、やってみていただけたらなと思います。
猿腕の方は意外と多いと思うんです。よく四つん這いとかで肘が痛いとか、腕立て伏せができないとかっていう方もいますが、基本的には、痛すぎるポーズまでいかないというのが1番大事です。なぜなら、そこをコントロールする術があまりないからです。四つん這いや腕立ての場合、肩の位置とか手首のつき方でちょっと変えられたりしますが、結局は結構すぐ反り返ってしまうので、難しい部分があると思います。
今回の質問者さんの場合は「鍛えたい」ということだったので、バンザイしたところ、片手で「はい先生!」という感じの手の上げ方から、頭の後ろ、肩の後ろへ手を回して、そこから伸ばすっていうようなトレーニングをしてみてください。慣れてきたらペットボトルを持ってみてもいいかもしれません。
猿腕と猿手は違う
余談ですが、猿腕と猿手は違います。猿腕は医学的な用語じゃないんだけど、猿手は医学的な用語です。猿手っていうのは手の神経の麻痺のことなんですけど、親指の母指球がなくなることを言います。ペタっとね、お猿さんみたいに。これはもう神経の麻痺の症状なので、すぐ病院に行ったほうがいいです。ここだけ説明し忘れたので補足でした。